
涙で見え得ぬ 恋文は
眠れぬ夜の静寂に 挟まれて
どんな言葉で 言い尽くしても
伝えきれない 無念の形
散りゆく春に想いをだぶらせて
まだ見ぬ幸福の影を身に纏い
次のバスへと 乗り込む人へ
贈る言葉は 「どうぞ幸せにね」と
いつか君と赤いしるしで
結ばれない恋だと知りながらも
暖かい手 温もる夜には
夢を空に描いていた
悲しみ色の絵の具が無いのなら
心の中をえぐって描けばいい
深く刺さった ナイフの先は
赤い血の色 それとも淡いエメラルド
いつかこの身を 引き裂かれようと
一度でいいから 暮らしてみたかったと
口に出したら 儚く消えてく
蜉蝣二人は 蜉蝣
あと少しだけ 寿命(いのち)があるなら
眠り掛けた 心の漁火を
読めない文字で 綴ってみせて
「好きです 好きです 好きです」